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パーキンソン病の治療とは? ―在宅でできるケアから最新治療まで―
こんにちは 上野院院長(兼クワガタブリーダー)です
上野院では神経難病、特にパーキンソン病患者さんの割合が徐々に増えてきていますので、今回は私が専門としているパーキンソン病の治療についてご紹介いたします
はじめに:パーキンソン病とはどんな病気?
パーキンソン病は、脳の中で「ドパミン」という物質が減ってしまうことで起こる病気です
ドパミンは体の動きをスムーズにする働きがあり、それが不足すると次のような症状が出てきます
- 手足のふるえ(静止時振戦)
- 動きが遅くなる(動作緩慢・無動・寡動)
- 筋肉のこわばり(筋強剛・固縮)
- 転びやすくなる(姿勢保持障害)
そのほか、精神症状、血圧変動、便秘など、様々な症状が現れます
進行性の病気ではありますが、専門医による適切な治療を行うことで、長く日常生活を維持することが可能です
パーキンソン病の治療の基本:お薬による治療
まず治療の中心となるのは「内服薬」です
主なお薬の種類
- レボドパ製剤(最も基本となる薬)
- ドパミンアゴニスト
- MAO-B阻害薬
- COMT阻害薬
- アマンタジン など
これらを患者さんの状態に応じて組み合わせて使います
在宅診療で大切なポイント
在宅では特に以下が重要になります
- 飲み忘れを防ぐ工夫(服薬支援)
- 「効いている時間(オン)」と「切れる時間(オフ)」の把握
- 副作用(幻覚、クネクネ、眠気など)の観察
- 生活リズムに合わせた薬の調整
お薬のタイミングが生活の質に直結するため、細かな調整がとても重要です
進行した場合の選択肢:デバイス治療
お薬だけではコントロールが難しくなってきた場合、「デバイス治療」が検討されます
主なデバイス治療(イラストはすべてパーキンソンスマイル.netより引用)
① 脳深部刺激療法(DBS)
手術で脳に電極を入れて電気刺激を与えることで、症状の変動を少なくしたり、お薬の量や種類を減らして副作用を抑えたりすることができます
② レボドパ持続経腸療法(LCIG)
お腹にチューブを入れ、レボドパを持続的に投与して、症状の変動を少なくし、何度もお薬を飲むストレスを軽減する方法です
③ 持続皮下注射療法(ヴィアレブなど)
皮下注射で薬を持続的に投与して、症状の変動を少なくし、何度もお薬を飲むストレスを軽減する方法です
④ MRガイド下集束超音波療法(MRgFUS)
脳に超音波を当てて、その部分を凝固し、パーキンソン病のふるえの症状を改善します
在宅医療との関わり
- デバイス管理(ポンプやチューブ、操作方法の確認)
- トラブル対応
- 家族への指導
これらは在宅診療チームが重要な役割を担います
最近話題の治療:iPS細胞を用いた再生医療とFABP3阻害薬について
①近年、注目されているのが「iPS細胞」を使った治療です
どんな治療?(イラストはプレスリリースより引用)
iPS細胞から作製したドパミン前駆細胞を、手術によって脳内の被殻に移植する治療です
ウェアリングオフを軽減し、症状を安定させる可能性があります
現在の状況
- 条件および期限付き承認の段階
- 最長7年間データを収集して有効性・安全性を確かめていく必要がある
- まだ一般的な治療ではない
今後の期待
将来的には「根本的な治療」になる可能性があり、研究が進んでいます
②「FABP3」というタンパク質に着目した治験が始まります
どんな治療?
パーキンソン病の原因蛋白であるαシヌクレインがドパミン細胞に侵入するのを助けるタンパク質FABP3を阻害して、パーキンソン病の症状や進行を抑える治療です
現在の状況
- 今後臨床研究・治験が始まろうとしている段階
- 2030年の実用化を目指している
今後の期待
これまでの治療とは違い、神経細胞の変性を防ぎ、症状を緩和するだけでなく、発症した患者さんの症状を改善する可能性があります
現時点では、疾患修飾薬(抗αシヌクレイン抗体、GLP-1受容体作動薬、キナーゼ阻害薬など)は実用性が証明できていませんが、今後も研究・新薬開発が期待されます
在宅診療でできること
パーキンソン病の治療は薬だけではありません
在宅では次のような支援が重要です
① 生活支援
- 転倒予防
- 食事・嚥下のサポート
- 排泄のケア
② リハビリテーション
- 動きを保つ運動
- 日常生活動作の維持
③ 心のケア
- 不安や抑うつへの対応
- 家族のサポート
④ 多職種連携
- 医師
- 看護師
- リハビリ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
- 薬剤師
- ケアマネジャー
- 在宅医療サービス(診療・歯科・看護・介護・リハビリなど)
チームで関わることで、より安定した生活が可能になります
まとめ
パーキンソン病は進行する病気ですが、
- お薬による治療
- デバイス治療
- 将来の再生医療
- 在宅での総合的な支援
これらを組み合わせることで、生活の質を保ちながら過ごすことができます
上野院では、「その人らしい生活」を大切にしながら、病気と付き合っていくお手伝いをしています