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統計情報 2023

TSUTSUMI CLINIC ANNUAL MEDICAL REPORT 2022 医療法人 徳隣会 つつみクリニック年次報告書

組織の仕組み化を推進し、
「できる限り在宅で」を実現。

患者様に最期まで寄り添うため、委員会制度や本部機能を強化し、属人化からの脱却を図りました。結果として転院等のフォローアップ終了率が大幅に低下し、「住み慣れたご自宅で最期まで安心して過ごす」という理想に大きく近づいた実績をお伝えします。

ピックアップ

地域の生活を支える診療規模

年間延べ訪問回数 47,875回 /
年間患者様累計 2,807

専門家が集結したチーム力

総スタッフ数 176
(うち医師52名、看護師42名)

強固なネットワーク

訪問先高齢者福祉施設数 246

はじめに

早いもので、つつみクリニックが開設して今年で10年目になります。
本稿は年次レポートと名の付くものですが、節目となる年であり、折角ですので冒頭にこの10年を振り返りたいと思います。
一旦筆を止め、クリニックを開設してからの出来事を回顧してみると、まず私の頭に浮かんだのが、知人の座右の銘である「出逢いこそ人生の全て」という言葉でした。

この在宅医療という仕事を通じ、人と出逢い、書物と出逢い、様々な貴重な経験をさせて頂きました。そして、その出逢った相手一人ひとりの立場になって、自分の言動がどう人に影響を与えるかを考え、そしてそれが相手にとってプラスになる様に心がけてきました。まだまだ未熟ではありますが、その甲斐もあってか、今では素晴らしい環境に身を置くことができて、誇りにさえ思えます。これこそがまさに、「恕」の精神を持ち続けることが「徳不孤。必有鄰。」に繋がるのではないでしょうか。今後もこの哲学を深化させ続け、私だけでなく、スタッフ、そして医療法人徳隣会という法人格自体がこの姿勢を体現していかなければなりません。

また、別の知人から「人の本質は、自分と異なる職業の人間とどれだけ話ができるかに在る」と教わったのですが、その言葉も先ほどの出逢いに関しての言葉と同じくらい、私の人生にとって大きなウェイトを占めています。一つ付言させて頂くと、ここで言う職業とは、賃金対価の発生する労働としての職業の意味だけでなく、それ以外の例えば、児童・学生、家事手伝い、ボランティアも含まれると捉えています(職業とは言わず社会的立場と表現する方が適切なのかもしれません)。そして、訪問診療の分野は一般的な医療現場と異なり、あらゆる医療職の方と一緒になって診療を進めなければならず、自然とお付き合いは広範に渡ります。世にいう学び直し(リスキリング)と言うよりも、「学び始める」ことを意識し、そしてそれを「継続する」ことも人生において大切なことだと考えています。

話題は変わりますが、私も40歳を超え、2040問題を迎える時には60歳となっています。あと17年しかありません。そこで最近、人生を逆算する様になりました。同時に医療法人徳隣会も事業開発・成長の意味合いとして逆算が必要になってきたフェーズに突入したと感じています。これまでの10年間、目の前のことをがむしゃらに、敢えて近視眼的に取り組んできましたが、これから17年は逆算をしながら、法人活動を展開していきます。
「謙虚の上に謙虚な姿勢」を貫くことを忘れずに、真の地域包括ケアシステムの構築に向け、邁進していく所存です。

職員・人事情報

総スタッフ数

176

前年比+43%

医師

52

【常 勤】15
【非常勤】37

看護師

42

【常 勤】35
【非常勤】7

ソーシャルワーカー

7

ケアマネージャー

11

臨床検査技師

2

放射線技師

6

【非常勤】

理学療法士

5

【常 勤】4
【常勤時短】1

作業療法士

2

言語聴覚士

2

管理栄養士

1

【非常勤】

事務

18

【常 勤】15
【非常勤】3

ドライバー

4

院内SE

1

法人本部

6

離職率

常勤

21.71

%

非常勤

22.03

%

※期間中に離職した常用労働者数÷(期初の常用労働者数+期中に入職した常用労働者数)

前職までに在宅医療に関わった経験があるスタッフの割合(集計期間中の入職者を対象)

訪問診療の経験者

1.51

%

訪問看護の経験者

4.54

%

振り返り

前年に比し、スタッフ数は増加しています。年々、スタッフの層が厚くなっていることを実感します。特筆すべきは①常勤医師数が増えたこと②訪問診療以外の分野(ケアプランセンターや訪問看護、訪問リハビリ部門)が充実してきたことです。
そして何よりも、スタッフ数が増えると、診療以外にできることが増えます。肝煎りの取り組みとして委員会制度を立ち上げました。現在、接遇向上スキルアップ業務改善3つの委員会を発足させ、徹底的に「仕組み化」を進め、脱属人化を目指します。
訪問診療の経験があるスタッフは1.51%、訪問看護を経験したことのあるスタッフは4.54%とほぼ全員が在宅医療の経験がないスタッフで占められており、如何に私たちが自ら学ぶことが大切であるかを物語っています。
一方で、非常に高い離職率の数値であり、採用時評価基準や入職前におけるジョブの説明、新人教育体制を一から見直し、全力をあげて改善に努めなければならないと反省しています。

これから1年の目標

「スタッフ一人ひとりを輝かせるために」という構想を纏めました。これは、スタッフ一人ひとりにスポットを当て、各人が内面から心も身体もスキルも磨いていける職場環境作りを目指した内容になっています。
さらに本部機能を充実させていきます。事業開発本部・広報・人材開発・財務・法務・エンジニアリングの6つの部署に分かれて適所適材に人員を配置し、「差別化」「生産性」「MA」の3つを課題の基本軸としてポートフォリオを組み、法人を成長させていきます。

有給消化率

65.61

%

前年比+11%

振り返り

今年は65.61%と過去最低値であった前年を何とか上回ることができました。
しかし、まだまだ足りません。最も反省すべきは、数値という結果ではなく、有給休暇の取得を促進する「仕組み化」が足りなかったことです。定点把握が不十分であったり、KPI(重要業績評価指数)が不明瞭であったり、そのためにPDCAサイクルを正しく回すことに欠けていた1年でした。

これから1年の目標

まずは75%を目指します。医療業界だと有給休暇は取りづらいという既成概念を覆さなければならないと考えています。そのためには、仕組み化を徹底させることに尽きます。人事部門が組織の潤滑油となり、スタッフ全員が共に助け合う文化の醸成が必要です。

平均残業時間

医師

2.43

時間/月

前年比+88%

看護師

28.48

時間/月

前年比-11%

事務

21.12

時間/月

前年比-39%

※前年度データはあくまでも参考値です

振り返り

医師部門の残業時間が延びてしまいましたが、数値的にそこまでスタッフの負担が過剰となる程ではありませんでした(※但し、昨年と統計手法が異なり、昨年は過小に見積もっていたため、実際は横ばいかむしろ減少している可能性があります)。
その代わり、課題であった看護師および事務部門の残業時間が昨年と比べて大幅に低下しています(※こちらも昨年と統計手法が異なるため、こちらに載せた低下率よりも実際には大幅に下がっていると推察されます)。これは、毎週水曜日にNO残業デーを設けたことが誘因の一つかも知れません。このNO残業デーを導入する前後で残業時間を比較すると全職種平均で日の平均残業時間を60分から40分に33%減じることに成功しました。

これから1年の目標

NO残業デーで一定の成果を上げた後は、一人一人にスポットを当ててきめ細かく対処していかなければ解決できないと思います。
人材開発部門を充実させ、スタッフ各人の困りごとや悩み、抱える仕事について細かく聞き取り、分析し、業務再分配、仕組み化・システムの導入、人員補充などの具体的な形でフィードバックし、このPDCAサイクルの遂行を徹底します。

疾患別分布

疾患別分布グラフ

振り返り

法人主催の勉強会は順調に開催でき、「精神科医師における訪問診療」「整形外科領域の訪問診療と訪問リハビリとの連携のあり方」「心不全の緩和ケア」といった題目で行いました。毎回100名程度のご参加者の方にご来訪頂きました。
今年のデータを見ますと、泌尿器系疾患患者さんの割合が急激に増えました。これは透析患者さんが増えたことによります。

これから1年の目標

高齢者の透析は、今後の日本が抱える課題の一つです。いつまで透析を続けるべきか、何が患者様やご家族にとって幸せな選択となるのか、お一人おひとりの人生にスポットを当て、我々独自のACP(アドバンス・ケア・プランニング)を構築することが喫緊の課題です。SPICT-JP(Supportive and Palliative Care Indicator Tool日本版)をベースにして院内だけでなく、院外の関係各所の方々も巻き込んで指針作成に取り組んで参ります。

要介護分布

要介護分布グラフ

振り返り

平均介護度は2.89と昨年とほぼ横ばいの数値で推移しています。また、難病ならびにがん終末期の患者様数割合も前年と比較して変わりはありません。今年からは精神通院医療を受けておられる患者様の統計も算出し始めました。

これから1年の目標

難病やがん終末期、精神通院医療を受ける患者様にスポットを当てて舵取りを行う必要があります。また、終末期医療はがんだけではありません。非がん患者様の終末期にも目を向けなければなりません。広い意味での終末期の患者様が安心して住み慣れた場所で暮らし続けるためには、我々の様な民間が発信し、課題の解決に取り組まなければなりません。

登録患者様数

年間患者様累計グラフ

年間患者様累計

※統計期間中に診療実績がある患者様

2,807

前年比+8%
8月現在1ヶ月の患者様数グラフ

8月現在1ヶ月の患者様数

2,242

前年比+25%

新規患者様数

新規患者様数グラフ

新規患者様数

1,118

前年比+2%
フォローアップ終了率グラフ

フォローアップ終了率

16.07

%

振り返り

登録患者様数は+24.97%、新規患者様数は前年比+2.01%、年間累計患者様数は+16.90%と変わらず多くの患者様のご紹介を頂きました。最も重要なことは、フォローアップ終了率が昨年の22.35%から16.07%へ大幅に低下したことにあります。これは我々の目指す「できる限り在宅で」という理想により近づいたことを示します。大変喜ばしいことです。

これから1年の目標

困っている患者様を老若男女疾患や地域を問わず1人でも多く携わらせて頂き、その上でフォローアップ終了率をさらに下げることができるよう模索し続けることに尽きると思います。

紹介元分布

紹介元分布グラフ

振り返り

回復期リハビリテーション病棟からのご紹介割合が、構成比として昨年よりも+5%伸びています。
また、昨年の課題であった広報管理ツールについてですが、SEスタッフと現場スタッフの協業により素晴らしいツールが完成しました。関係各所様からのご紹介状況が経時的にかつ横断的に一目で見て確認できるヒートマップを作成し、きめ細かく次のアクションへ行動を移すことが容易となりました。

これから1年の目標

どこの医療機関から紹介を受けたかという漠然としたデータ管理を行うだけでなく、どういった疾患だったらどこの医療機関から紹介を受けているかという視点でマネジメントを行うべきだと考えています。そうすることで、当法人のスタッフの専門性が患者様の診療によりダイレクトに還元し易くなるのではないかと思います。

入院回数と入院率

入院総数グラフ

入院総数

986

入院率グラフ

法人全体での入院率

35.09

%

※本年度より上記式での算出方法に変更しております

※前年度データはあくまでも参考値(入院率は低く見積もっている可能性があります)です

入院日数(中央値と平均値)

法人全体(中央値)

23

法人全体(平均値)

33

振り返り

結果は昨年とほぼ同じ数値でした。今年からは入院日数も算出しています。6ヶ月以上入院されている患者様をデータから省いた場合、入院平均日数や入院日数中央値は殆ど変わりはありませんでした。同様の検討を3ヶ月以上入院された場合で区切ると大きな違いが生じました。

これから1年の目標

このデータが物語っているのは、3ヶ月以上6ヶ月未満入院されている方が多くいらっしゃって、そこが統計データに大きな影響を与えているということです。6ヶ月以内には殆どの患者様が退院できているのです。
これを受けて今後、3ヶ月以上入院させない・しなくても良い体制作りを徹底させなければなりません。在宅でも様々な治療が入院時と変わらずできることを各医療機関様に浸透させることや、直接退院支援のお手伝いをさせて頂く等、できることは沢山あります。そういった活動を推進させていきます。

訪問状況

訪問回数

47,875

前年比+16%
鳥栖 訪問状況グラフ
福岡 訪問状況グラフ
福岡西 訪問状況グラフ
朝倉 訪問状況グラフ
上野 訪問状況グラフ

訪問看護

ご利用者様延べ人数

150

延べ件数

931

訪問リハビリ

ご利用者様延べ人数

801

延べ件数

5,216

居宅介護支援事業所

ご利用者様延べ人数

241

延べ件数

2,057

訪問先高齢者福祉施設数

総施設数

246

振り返り

訪問診療分野においてですが、訪問回数は前年比で+16.10%と年間累計患者様数増加率とほぼ連動しており、一人当たり患者様における平均訪問回数はほぼ横ばいで推移しています。
お看取りをさせて頂きました件数は昨年の134件から202件と1.5倍も増加しています。
次に訪問看護と訪問リハビリの訪問状況ならびに居宅介護支援事業所の活動状況についてですが、いずれの分野においてもご利用者様数は年々多くなっております。昨年比で訪問看護は3.1倍、訪問リハビリは2.3倍に伸びています。
訪問先高齢者福祉施設数は当法人全体で246施設と昨年に比し20.0%増加しています。

これから1年の目標

毎年同じコメントになるのですが、目標は件数ではありません。件数の伸びは我々が提供させて頂くものの質をどうご利用者様が捉え評価して下さるかの結果に過ぎません。
ですから、先述のアンケート調査や日々の広報活動の中で質が向上され続けているかの確認を弛まず行わなければ務まりません。

アンケート調査結果(居宅介護支援事業所様対象 20223月実施)

20223月に行った居宅介護支援事業所様向けに行ったアンケートの結果をお示しします(対象159事業所様)。アンケートにご協力頂きました皆様へ、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

まず、夜間休日オンコールについての無回答が31.4%と多かったことです。夜間オンコールで行ったことについて、うまくケアマネジャーさんと情報共有ができていなかったのでは、と振り返りました。時間外の突発的・不規則な出来事については、特に共有すべきであるのに、それが欠けていたことは反省しなければなりません。
次に居宅療養管理指導書の内容について「悪い」と回答された方が全体の4.00%を占めていたことです。病状の変化や治療方針の変更点については簡潔明瞭に理解納得できる形で伝わらなければなりません。
以上、直ちに改善に向けて歩を進めて参ります。

20239月には高齢者福祉施設様向けにアンケート調査を行っておりますので、こちらも集計が済みましたらアップデートしたいと思います。

振り返り

訪問診療スケジュールについて、「時間通りに診察に伺うことが出来ていますか」の質問に対し、「良い」41.5%・「普通」42.7%という結果でした。「事業所の意見は通っていますか」には「良い」45.8%・「普通」40.7%、「変更があった場合の調整や連絡は適切ですか」は「良い」34.4%・「普通」49%という結果でした。
引き続き地域の皆様のご意見を真摯に受け止め、改善に努めて参ります。